これは面接後記である。
僕が、その後も祈りに祈ったおかげか、ビルがデカすぎて上手くしゃべれなかった会社(2番目の面接)と、嫌な思いをした会社(3番目の面接)から、二次面接の連絡が来たので、お賽銭のご利益が違う方へ刺さったのだなと思った。正直言って、1番目の面接だった会社にだけ受かりたくて、次の次の日の朝に電話がきて、「絶対これ、あの会社だ!」と盛大なぬか喜びをした。人生の望み通りにならなさ。どうなっているんだ!
またあの大きなビルへ、二次面接へ向かう朝、改札前に人が多くておかしいと思ったら、人身事故で電車が止まっていた。運転再開は1時間後だという。途中までは電車が動いていたので、検索した別ルートで向かう。40分が1時間半だ。片道400円が500円だ。中央線に乗る羽目になって、満員電車に30分だ。乗り換えの前には、駅で会社に電話を入れて、遅れそうであることを連絡しなければならなかった(15分ぐらいの遅れで済みそうだと話したら、そのまま来てくれと言われた。実際に遅刻は15分程度で、面接はそのまま始まった)。
ムカつくなとか、イラつくなという方が無理なのかもしれない。僕はそれでも、高潔な精神性と世界観で、しょうがないと思うことにしているから、しょうがないと思うことができたけど。すべての人身事故に愛を。
改修中の渋谷駅は薄暗く、前回は都バスを使ってしまったから、グーグルマップを開いて方向を確認していたところ、右手をどつかれて「危ないだろう」と、じじいに言われる。めっちゃ痛くて「ごめんなさい」と言ってしまう。下を見たら、テープで描かれた矢印はこちらを向いていたが、僕が歩いていたのは壁際も壁際で、何一つ危なくなんてなかったから、とても悲しくなった。
これは『文化系トークラジオLife』でも話されていたことだけど、ルールとして明示されているからといって、なぜそんなに偉くなれるのかという問題でもあるし、勝てる相手にだけ強く出るという問題でもある。僕がいかつい奴だったら、こんなことされてないはずだから、なめられているんだ(とはいえ僕は男だ。男でもこうなのだから、女の人はもっと大変なんだろうなと思った)。
こういうやり方しか取れないまま、この年まで来てしまった人に、何て言ったらいいんだろうなと虚しい。なんとかなる方法はないものかと考えていたら、面接会場に着いた。
面接はどうでもよかった。まー、いろいろ問題あるよ(アルバイトから社員になるまで、何度も契約し直さなければならないこととか、募集要項に書いてなかったし)。ビルを出て、僕にはブコウスキーが足りないと思った。腐った世界に火をつけるために、本買って読むしかねえな。