ブログ「いらけれ」

面接が終わって、作文を書くように言われる。1h/1000w。いや、普段はこんな風に一時間も千文字も表現しないけど。テーマを与えられて、まずは小さなメモ帳に関連ワードを書いていく。そして、ぼんやりと構成を考えていたら、もう10分経ってしまっているけど、これは投資だから仕方がない。高くジャンプする前には、しっかりと膝を曲げて、腰を落とさなければならない。

「かんぴょう巻きと趣味」みたいな、AとBという形式のテーマだったのだが、だいたいこういのは、「ここで問われるまでは、深く考えたこともなかったが、そもそも趣味とはどのようなものだろうか」みたいに書き出して、定義から始めるのが楽。ずるい。

定義のあとは、AとBの関係を考察するというところまで、書く前に決めていた。書き始めたら乗ってきて、朝の電車で読んでいた相沢直の「医学部平凡日記」(数日前にも書きましたね)を意識した文章を入れ込むなど、紙の上で遊んでしまう。えへへ。

手書きの問題というのがあって、とにかく字が下手なのである。ペン字講座を受けるしかないな。

筆箱に消しゴムを入れ忘れていて、使っていないシャープペンシルの、蓋になっている小さな消しゴムで文字を消さなければならず、これが全然上手く消えないので、なるべく文字を間違えない方向で頑張ることにした。

あと、漢字読めるけど書けない問題というのもあって、さすがに試験中にスマートフォンを取り出すわけにもいかないので、確実に分かる漢字だけ使うことにする。難しい漢字は、一旦メモ帳に試し書きして、違和感がないかを確かめる。間違っていそうだったら、表現を変えることで回避することにした。

字を間違えられないという緊張感と、書けない漢字の言い換えを考えることでくたくたになりながらも、400字詰め原稿用紙2枚を埋めて、残り20分。AとBの関係を書くなかで、AとBは近づけない方がいいらしいことが判明した(もちろん”かんぴょう巻き”と”趣味”は、近づけようが遠ざけようが、どちらでも構わない)ので、文章の最後には、AとBは引き離すべきなのに、人類はどうしても、AとBを近づけてしまいがちだよね、分かっていてもできないということは、それが本質なのかもしれないね、という無理矢理な結論を付けた。誤字チェックをしながら、本当にダメな字の整形をして、ぴったり1時間で書き上がった。

バシッと机に叩き付けて提出し……たかったものの、そんな勇気はなく、「お願いします」と頭を下げながら手渡したけれど、リプレイ映像で確認すれば、僕は絶対に若干のドヤ顔をしていたはずだ。自分では判断がつかない内容の良し悪しはさておき、「決められた文字数を、決められた時間内で書く」という作文の能力が爆上がりしていて、僕は僕がとても恐ろしいよ。これなら本物の物書きになれそうじゃない?偽物の物書きをやめられそうじゃない?と思った。階段を降りてビルを出たら、そんな勘違いはすぐ外気に溶けた。