意味の言葉です
花粉症の薬を飲み始めた。具体的な症状が出ているわけではないが、本格的なシーズンを迎える前から摂取しておいた方が良いと聞いたことがあるし、あと、朝起きたら少しだけ目がかゆかったし。それで、ダウンジャケットを羽織って外に出たら、並木道で涙を流しながら歩いている中学生女子とすれ違った。僕みたいな見た目の奴が声をかけるわけにもいかず、とても悲しい思いをした。彼女も花粉症で、目がかゆかっただけならば良いのだが。そういうことでもないだろうし、無力が染みる。
だから音楽を作りたいと思った。良い音楽はどこまでも良く、僕の心を癒してくれる。こんな良薬を自分で作れたら、きっと楽しいだろうな。
その上、良い音楽を作る人は、とてもかっこよく見える。文章を書いていて、かっこいいと思われるなんて、そんな可能性はあるのだろうか。かっこよく見られたいがために、物を書いているわけではないけれど。間違いと欠陥だらけの言葉という機構それ自体が、なかなかに、ダサい。
当然のことながら、音楽を作っただけでかっこよくなるわけではないし、音楽を作ってかっこよくなるためには相応の努力が必要だろうし、そもそも、これだけたくさんの音楽が溢れている世界なのだから、聞いてもらうだけでも難しい。
しかし、何事もまずやる。やっていて楽しいからやる。やっている自分が好きだからやる。そういう意識を馬鹿にしないで、やる。何でもやればよいと言っているわけではない。他人の家に入ってはいけない。美意識と倫理観で、やることをやる。
そこに転がっている石を蹴って、ああ、また駐車場が出来たんだなあと思う。ここは昔呉服屋だったから、その時は前を通っただけだった。その後、政治家の事務所らしき何かに変わったから、その時も前を通っただけだった。そしてある日、工事のための囲いができた。僕は、その前も通った。
白っぽい土が、黄色と黒のロープで区切られている。そして、道路の近くのところに、料金を徴収する物々しい機械が設置されている。今ここで働いているのは、こいつだけだ。
この街にコインランドリーが増えていることは気づいていたが、その理由までは分かっていなかった。先日も、小さな八百屋さんが小さなお弁当屋さんに変わったあの建物が、最新型のコインランドリーになっているのを知った。そこでも、働いているのは洗濯機だけだった。
機械を働かせて、自分は枕を高くするというのは、たしかに理想的な生き方だけど、皆がそれを目指してしまったら、車の数以上の駐車場ができ、ほとんど回転しない洗濯機の並ぶコインランドリーが作られることになる。現代は皮肉だ。
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