West Gate No.3

ブログ「いらけれ」


LIBRO / 音信

今日は、新宿で編集プロダクションの二次面接があり、神楽坂のあたりから高田馬場まで歩いた。僕にとっては、少し寒くなった今くらいの季節が、歩くにはちょうどいい。間には早稲田があって、「西早稲田 公然の秘密基地」って歌詞があるから、まずは、この曲を聞きながら歩くことにした。結果的に、最後までリピート再生で、この一曲だけを聞きながら歩くことになる。

お金以前に勇気が必要な
場面の態度 問われてる実情

コレクターズの写真が飾られたカフェや、少しだけ階段を下りたところにある定食屋でおじさんが見ている週刊誌のグラビアなど、街はいい雰囲気だったけど、僕の頭の中はやはり、あの会社に受かったら行くのか、でも、なんの条件も提示されなかったしなとか、本当に編集者になりたいのかとか、そうしたことで占められていた。

次に日常に溢れるただのノイズを
アートに変えるのは どこのどいつ

そんでまあ、僕には文章があるのだと思う。こうして生きていることを、文字に変えていく。これは日記であり小説であり、そして文学であるのだということ。つまり、日常の破片を、アートに変換しているのだということ。

ひらめきの着信履歴
こうして書き残してく

歩いていると、早稲田大学にぶつかった。こんな機会でもなければ、中に入らないだろうからと、潜入すると頭が良さそうな空気。佐々木敦いないかな。会ったら「『未知との遭遇』が人生の一冊です」って話をしようなどと空想していると、すぐに敷地を抜けてしまって、大きな建物の横の、地味な階段を上がって、門の外に出た。

あらためて心と懐 温めてくために
高めていく強度

これブログに書けるなあとか、地下鉄代が浮くなあと思っている、飛びきりさもしい自分に気づく。早稲田通りを歩いているらしかった。建物の連なりの切れ目から、遠くには高層ビルが見えるのに、突然古本屋があったりして面白い。大きな交差点で信号待ちをしていると暑くて、ダウン着てくるんじゃなかったな。

お前の出番は必ずくる
今じゃない、と嘘つく 自分を見抜く

無理だ。僕は何物にもなれない。

やれる?やめる?何言われても続けてく
ふてぶてしさぶつけてく

でも、自分にとって自分は、いつも最高なんだよな。キレイな女の人は何人もすれ違ったけど、スタバのあのカップを持っている"まんま"な人を見ると、少し笑ってしまう。なんか疲れるなあと思ったら、これ坂を上っているからだ。華屋与兵衛だ。あ、串カツ田中。ちょっとずつチェーン店が増えていく。早稲田松竹がある。しかし、この曲にはパンチラインしかないな。

思考の迷路から外に出た おれ

資本主義まるだしの街並みを進むと、遠くに電車が走るのが見えた。もうすぐだ。一時間半は歩いたか。曲と街と歩行によって、頭がすっきりした。帰ったらまず、このことを書こうって思う。やくざ映画で、カンフー映画で、あるいはヒップホップを聞いて、少しサグい気持ちになって、風を肩で切るのって、現実が拡張されているよな。自分が主人公になれる気がして、元気が出た。信号は緑で、渡ったら高田馬場駅。

終わりなんてない ゴールは有って無い

ブログ「いらけれ」

Posted by 後藤