「世界が色褪せて見えるのは脳のせい―離人感・現実感消失症の病態解明への第一歩―」
そっか-、僕の世界が色褪せてんのは脳のせいかー。そうか、どうりでー。この現実感のなさは全部、僕のせいじゃないんだなー。
……というのは置いといて、これめっちゃおもしれえなあ。文学とか感覚とか、言葉だけで語られてきて、言葉の上で謎を解明しようとされてきたものに、科学でメスが入る感じのって、わりと好きなんだけど。小説のテキストを、統計的に分析したりとか。
でも、こうやって心という言葉が、どんどん脳にすり替わって、良い小説の書き方が公式化されて、すべてが科学で説明されて、それで分かった気になる世界は、脳がどうとか関係なく色褪せて見えるよ。
覚えておくべき大切なことが、時間が過ぎて、忘れられてしまうことに対して、ずっといけないことだと思っていたんだけど、過熱していた興奮が冷めて、時間が解決してくれることもあるんだなって、この歳になってやっと分かってていいのかどうか。「時代は僕を救いはしない」かもしれないけれど、でも、とにかく時間が僕たちを助けてくれることがあるのは確かだ。
僕はヒーローのなるために生まれてきたので、人を救わなければなりません。ですから、僕に助けられる困っている人が必要ですので、街中を歩いているときに、きょろきょろと何を探しているのかといえば、倒れている人やうずくまっている人です。つまり、誰かに不幸が降りかかれば、僕はヒーローになれるわけですから、もちろん他人の不幸を望んでいます。ええ。
小学生のころから、クラスメイトをゲームショップで見かけて逃げたり、隠れたりしてきた僕は、道端でバッタリ知っている人に会ったときに、会釈して目をそらして、逃げるようにその場を離れる癖を直したい。おそらく、一人でいるときの僕は、誰かと会うことになっているときに作っている僕と違っていて、だから、知った顔にビクッとして逃げる。でも仮に、そこで会った人が会いたい人なら、勇気出して声をかけたら、もしかしたら、そのことによって楽しい思い出が増えたら?取り返しのつかない毎日の選択のなかで、逃げた場所に引き返してみたら?そんなことが僕にできたらって、強く思う。
sunbrain「Houston」
心に強く響くこの歌は
滲んだ絵に少しずつほら 色を成してゆくんだ