City Lights
可能なかぎり平坦な道を歩きたい。上り下りは辛い。冬の空はフォトジェニックだ。遠くを見ていた。
歩道橋の足元にいる猫が、一つ段を降りた。最終的には、人間が出来ているかどうかだろう、と思う。他人の限界ならばきっかりと分かる。いくらでも指し示すことができる。なのに、自分のそれだけが分からない。だらだらした一日は、もう夕方。オレンジが紺に変わる時。
今日の夜に書くことがないと知っていたから、思い出の在庫確認をしてみる。中学の時の体育教師を思い出した。そして、授業のフットサル。反転からのゴール。先生の拍手。それは、「バスケットボールの思い出」にとても似ている思い出だ、思い出を書くのは安直で、簡単に情緒が出てしまうから嫌だ。出した思い出をしまう。
退屈になれてしまう。ふと、日本語の歌詞が聞きたくなった。でも、持っている曲のほとんどを、まだスマホにダウンロードできていない。いろいろと立て込んでいる。少ないライブラリーの中から、毛玉を選んだ。
生きることに飽きてしまう。嶋がスワローズに来るというので驚く。そもそもの、プレミア12の位置付けが分からない。沢尻エリカが捕まったらしい。「それよりも大きな問題がある」という言葉は、何もしないことを許すことにしかならない。
借りた本を返したブックポストは、フェンスで囲われた図書館の前にある。フェンスには、おかしくなってしまった人の家みたいに、ポストの位置を示す紙が無数に貼られている。工事は3月までかかるという。5階建ての大図書館になったりしないかな、しないよな。
ずんずん進む、ぎょっとする。自転車がたくさん置かれているから、自転車屋だと分かる。それぞれのかごから垂れさがっている紙には、大きさや値段が書かれているだけではない。よく読めば、政治風刺を込めたオリジナルの川柳が混ざっている。売り上げには貢献しないとしても、そのように使いたいと思えば、そのように使ってもいいという発想の転換は、自由のやり方を教えてくれる。
ところで、死んでしまった人は、どこで何をしているのだろうか。駅前にじっと立つ人たちは、どうして何を信じているのだろうか。宗教の遠さ。取材を前提にお付き合いしてみたいものだ。
随分前から続いている駅の工事はかなり進んで、線路沿いの道の上空に、鉄の塊が渡されている。見慣れない光景に、記憶が上書きされてしまう。時々、上書きされる前の記憶を呼び出したいと思う。あの角の日高屋の前はサンクスで、その前が何だったか、とか。
夕飯を食べた後に、志望動機を書いて、求人に応募してみる、2社。湯船の中で一日を振り返ると、来年の1月に小痴楽師匠が東村山に来ると書かれたチラシが思い浮かんだ。そうだ。クリスマスの飾りはまだ早いと、そう思ってしまうけれど、年末はすぐに来るのだ。無意識が焦っているから、あえて淡々としてみる。前に向かって生きる。
毛玉 – まちのあかり feat. その他の短編ズ
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