感想-4 「真実」をめぐる物語として

ブログ「いらけれ」

こんな風に書いて、とても楽しい。すべては覚えていないとしても、それでも書いていないことはあって、トーク開始前にボイスレコーダーの電源を入れた矢野さんに、今話題になっている”テープ回す”という言葉を使ってボケたマキタさんのこととか。細かいディティールは、どうしてもこぼれていってしまう。世界とはそういうものだけど、とても悲しい。

〇マキタさんの話の中で、一番印象に残ったのは、山梨にいた頃のあの自分のような誰か(他のミュージシャンの音楽の特徴を、ラジオのギター講座でモノマネしていた長渕剛に、強い衝撃を受けたような)には、まだ届いていない、届くことができていないという実感を、繰り返し言葉にしていたことだった。また、都会と比べた時の、地方の”意識の低さ”についても言及していた。”東京の田舎”に住んでいる僕には、地方のリアリティは分からない。けれど、ラジオにハマるとか、そういうきっかけがなければ僕も、意識が低いままだっただろうなという感覚はあって、そういう端緒の数の差なのかなと思った。事実、マキタさんはマキタさんになったわけだし。もちろんマキタさんも、最近のことは分からないというようなことを言っていたけど、インターネット、スマートフォン、SNSの登場・普及以降の実情は、また変わってきているのかなあとも思う。

〇今、杉田俊介さんの松本人志論(「松本人志についてのノート」)が話題になっているけど、この日のトークの中でも、彼の存在は当然のように議題に上がっていた。彼が、『IPPONグランプリ』に代表されるような、センスの優劣が勝敗を決めるゲームに、不確かな空気をいかに読むかというルールに、お笑いを(そして社会を)作り変え、”闇営業”に呼ばれないような、(マキタさんの言葉を借りるなら)座持ちの悪い芸人が世に出るフィールドを整備したというのは、よく言われることだ。しかし彼は、(マキタさんが指摘していたように)あの尼崎出身の叩き上げである。また、人前で上手くしゃべれなかったり、噛んでしまったりしたら、「後ろに回れ!」と言われてしまうような、ヤンキーたちのリアリティをマキタさんが語っていたが、「噛んだ」という言葉を広めた張本人でもある。つまり、ある種のヤンキー性を見出すこともできる、とても面白い存在なのだ。面白い存在だからこそ、お笑いに興味がない人の「最近つまらなくなった」という印象のツイートではなく、ちゃんと向き合った人の、しっかりとした論評が読みたいし、もっと書かれるべきだと思う。

さらに続くことになるとはなあ。明日は、もう少し踏み込んだことを書こう。ここではひとまず、「8月もよろしく」と挨拶をしておく。

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Posted by 後藤