(あれ、まだあるんだろうか)

ブログ「いらけれ」

「ひらがなでしか書けないことってあるなあ」と、舌を出しながら言い訳。

楽天銀行を使っていると、バナーをクリックすると1円がもらえるというキャンペーンがたまにあって、その度に若干嫌な気持ちになる。あれだけポイントを貯めているのに、なぜ1円では嫌な気持ちになるのか。ただの数字や物質ではない神聖さというか、ポイントとの本質的な違いを感じる……というような刷り込みを、みんなが共有しているから、お金はお金なのではないか、と考えている僕は、時代に置いて行かれているのかも。

ファン・ダイク(「世界最高のセンターバック」とも言われているサッカー選手ですね)のコメントを翻訳した記事(「“世界最強”は向上心の塊…ファン・ダイクがディフェンダーの心得を明かす」)を読んだのですが、

「僕は常に自分に対してとても批判的だ。だから周りの人にも批判してほしいと思っている。それは監督に対してもそうだし、それはいいことだと思うから」

って記事内の言葉、めちゃくちゃ良くないですか。まず、なかなかこのようには思えないし、思えたとしても、自分に自信がないと言えない。「その程度の実力で批判してほしいって……」みたいに、鼻で笑われてしまうから。こういう風に考えられる人間になりたい。言葉の力は人間の力だと思う私は、これだけでファンになっちゃいました。

最近は、昔聞いたラジオのことを思い起こす機会が多い。爆笑問題のJUNKで、太田光が本をおすすめするスペシャルがあって、恩田陸の「Q&A」とか「金閣寺」とかを紹介していて、すごい面白かったな、あれ。興奮しながら聞いて、心の底から読んでみたいと思って、結局一つも読まなかった思い出。その頃から、語られる対象よりも語りの方が好きで、面白いと思う傾向があって、だから何にも触れてこなかった。そのことを今、猛烈に後悔している。

家(うち)がまだ、洗剤をもらうために三ヶ月交代で違う新聞を取っていた頃、何新聞かの土曜日の紙面には、うねうねとした森や雲の画を、下に付いている二つの黒い丸が三つになるように、ピントを上手にずらしてから見ると、隠された立体の図が浮かび上がるというものが載っていた。「ステレオグラム」というらしい。今では視力回復につながると言われ、もっぱら目を良くしたい人が見つめているそれは、ただのクイズだった。でも楽しくて、土曜日が待ち遠しかった。家族みんなで、新聞紙を前に後ろに行ったり来たりさせながら、見えたとか見えないとかやっていた。懐かしい。新聞には、まだあるんだろうか。

ブログ「いらけれ」

Posted by 後藤