2019514-3

ブログ「いらけれ」

(帽子、タグを切ってもらえばよかったなあ……)というのが心の声で、手に持った袋の中身を見ながら、電車に揺られていた。「ハサミ持ってますか」というのが、見知らぬ人に発せられることのなかった言葉で、隣の人に声かけられるような人間だったらなあと思っていた。怪しまれて警戒されたら、「いやいやいや、違うんです。さっき買った帽子のタグを切りたくて」とか言って。

渋谷のコンビニにはセルフレジがあって、僕みたいな人間に優しい。でも、500円以上するハサミしか置いてなくて、そっちはぜんぜん優しくない。少し歩いて見つけた100円ショップは、なんか品揃えがファンシーで、それはまあ、生活用品を買いに来る人が少ないからだろう。筆箱に入るサイズの、小さなハサミ(キャップ付き)を買った。そんなシチュエーションがもう一度来るかは分からないが、またタグを切りたくなったときに、こいつが役立つはずだ。

近くのファミレスに入ったら、お会計をしている外国人の店員さんに「~~(聞き取れなかった)お待ちください」と言われたので待って、一人であることを伝えたら、「そこに名前を書いて、お待ちください」と笑顔で言われて、もやもやする。彼にとっては、歓待を表す笑みだったのかもしれないし、真意は分からないけれど、嘲笑されたように感じてしまって、これから先、こういうことが色々なところで起こるのだろうし、難しい時代だなあと思った。

来た道を戻って入ったガストには、結構な空席があってよかった。もう18時になっていて、こんなはずではなかったのに、余裕をもって本を読むはずだったのにと思う。帽子を袋から出して、タグを切って、置いて眺めて、やっぱりかっけー。つばの、キラキラのWWEのロゴが描かれたシールは剥がして、一緒に袋に入れていたレシートの裏側に貼って、持って帰ることにした。モバイルバッテリーをスマホにつなぎ、もう机の上が混んでいる。歩いている間、ほとんど水分を取っていなかったので、注文の品が来る前にコーラを一杯飲み切ってしまった。チーズインハンバーグは、切り分けたときのヴィジュアル的な美味しさは素晴らしいけれど、流れ出ててくるチーズと肉を一緒に食べるのが難しい。イヤホンを付けて話し声を遮断し、本を読む。家で読むより集中できたようで、かなりページが進んだ。店を出るまでの1時間半で、ドリンクバーに3回立って、炭酸飲料を3杯と、おかわり自由のスープを2杯で、おなかがだぼだぼした。

僕は、ここまでに2時間半以上歩いていて、すでにかなり草臥れていたわけだが、まだ一日は終わっていない。むしろ、これからが本番なのだ。だからあなたは、明日もまた、この日記を読まなければならないだろう。

ブログ「いらけれ」

Posted by 後藤