Fake New(s)
言葉にできることは大してなかった?それまでと比べてぐんと寒くなった世界から帰ってきて、人生の夜も明けるのだ、きっとなどと、追い炊きをした湯船のなかで考えている。さっきまでの僕が、深夜の自分だとしたら、今の自分が朝の自分だ。生きているのだから、楽しんでいいのだと分かった。見たかった「NHK杯テレビ将棋トーナメント」は、居眠りしてしまったけれど。
昼間には、お土産の博多ラーメンの袋麺を食べる。僕たちが、インスタントに新しいものに出会う、とても簡単な方法として、そして実は、新しいものによく出会っている場として、食べるということがあって、だから、常に新しいものを食べたり、食べたことのあるものを新しいように食べたりしていくことで、それに一々驚いたり感動したりして、人生が豊かになるのだ。だから僕は、普段食べているミックスナッツにプラスして、落花糖を購入したこと、そしてそれらをミックスするという判断、口の中に入れたときの味、そのすべてに感動と感謝をしている。
夕方に用事があって、出かけなければならない。その前にまず図書館に行って、借りてた本を返し、また新しく本を借りた。これから開かれる、まだ見ぬ次のページにワクワクしている自分は、少しつまらないくらいに健全だった。早く出てきてしまったようだったから、目的地である阿佐ヶ谷の前の荻窪で電車降りて、少し歩こうかなと考える。もちろんこれは、深夜/早朝に8000歩ほど歩いた日のことだ。
電車が遅れていた分だけ、将棋ウォーズをゆっくりできてよかった。将棋の調子が悪いのは考え物だけど。余裕余裕と思い込んでいたが、駅を出て時計を確認し、グーグルマップで経路の所要時間を見たら結構ギリ。でも、とりあえず歩き出して少ししてから、たった時間と減った所要時間を比べたらピッタリ同じ分数だったので、そこからは時間を気にすることはやめた。荻窪の大きい道路は、特筆すべきことはなかった。自転車に乗ったお巡りさんに、女子高生が何かを尋ねていて、それを横目に進んだ僕を、小走りの彼女が颯爽と追い抜いていった。知らない街だなあと思った。
会場調査のアンケート。少し早く到着したのに、待たされることなく始まって、あっという間に終わった。時給にしたら1万2000円ぐらい。心と懐はほくほくしていたけれど、日本を覆った寒気はやっぱり強力だったみたいで、阿佐ヶ谷駅まで続くアーケードはとても寒かったのに、パントマイムやバルーンアートのパフォーマーはそれでも、そこに立ってパフォーマンスをしていた。素晴らしいと思った。こんな街で生まれ育ったら、僕でもひねくれずに大人になれただろうか。空気とクリスマス飾りが、キラキラと輝いていた。
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