なにかがちがう

ブログ「いらけれ」

時間がかかったけれども、分かってよかったのは、完全に心の調子が狂っていたということで、プロ野球選手だったら、原因不明のコンディション不良で二軍落ちしていただろう。ここ最近のすべてが、不調と不調からくる空元気だったということを、元カノの名前をググっているときに気付いた。虚しくなって、大きく落ち込んだ先で、やっと精神の変調を理解した。こんなときに書くものが面白いわけがない。こんなときじゃなければ面白いものが書けるみたいじゃないか。そもそも、お前は人間としての能力が低いんだという声が聞こえる。それは、尊敬する物書きが、本を書き、もちろんそのための調べものをしながら、フルタイムで働いているという事実を知ったことも大きいかもしれない。そんなことはない、だって、声はその事実を知る前からずっと聞こえていたのだから。だから、自分が憧れを抱いている人物のように、何かを知っているということがないということは、分かっていたのだ。文化資本も教養もない、それを補う才能もない。今日やったことといえば、1円玉ぐらいの大きさのクモをつぶすことだけ。嘘、靴も洗った。真夜中に自分を見限ろうとしていたところ、TWICEのミニアルバムリリースと、頼んでいたTシャツの発送を知って持ち直して、朝起きてから意気揚々と、来月の渋谷らくごのチケットを取ったり、求人情報を調べて、ラジオ制作の仕事に応募しようと思ったり、靴の乾き具合を確かめたりしながら、外に出た。合間に、LINEで渋谷らくごの話をしていた友達に、予約した回の出演者である柳亭小痴楽のラジオが面白かったという話をして、おすすめもした。ここまではよかったし、散歩をしながら聞いた、渋谷らくごのポッドキャストの月間太福マガジンも素晴らしかった。ただ、大雨が降ったのが計算外だった。片側の空が茶色くなって、雷鳴が聞こえた。遠くの空は晴れている。少しずつ視界に縦線が入るようになってきた。その内に雨が段々と強くなって、いつのまにかびしょ濡れになって、着ていたシャツが肌に張り付いた。遠くの空は晴れているのになあ。脳内には、見たこともないのにくっきりと、少女が浪曲師になろうとして挫折する姿が、アニメーションの絵で思い浮かんでいた。こちらから迎えにいかなくても、想像がやってくるというのが、芸能の力だと本当に思う。突然の稲光。恐ろしくなって走った。しかし、雷が落ちたのはその一度きりだった。みっともない姿のまま、歩みを進めていたら、雨雲を抜けた。雨の中の興奮では気付かなかったが、秋の風はとても冷たくて寒くて、泣きそうになる。僕が何をしたっていうんだ。家に着いたけど、干していた靴を取り込むまでに、たくさんの手順を踏まなければならなかった。お湯を沸かして、久しぶりにホットコーヒーを飲んで、一息ついた。生き返る心地だった。生きていることに対して、少し前向きになった。だから、これを書きながら聞いていたラジオから流れてきた、情報の少ない音楽家の音楽に感動して泣くこともできた。つまり、神様はそこにいた。


Keath Mead『Sunday Dinner』

ブログ「いらけれ」

Posted by 後藤