連作短歌「孤独なボウリング」
ピンみたくペットボトルが転がった テレビに映っていたボウリング
芸人が球でもないし芸人が股を広げて待ってもいない
突然に曲がるボールを投げている典型的なフォームの選手
プロボウラーと中二病にだけ許された手首まで覆うグローブ
床はピンとボールと関係を持つ 選手はボールを投げるしかない
投球の前に選手にかけられる大声 そういう応援なんだ
BSに多いクラシック番組 跳ねて倒れるピンの交響
ターキーはやったことないのに知っていてオープンフレームは知らない
顔面はボール同様穴がある 試合はどちらかが勝っている
口や鼻 目や耳があるだけのボール なぜこんなにも人の顔には
かわいい子とかわいくない子のボウリング決勝はかわいい子が勝った
負けてする爆発的な祝福が少女のようだ 飛び跳ねに跳ねて
男子選手から放られる青色の躊躇の無さが油を滑る
ボウリング選手が語る意気込み ボウリング選手らしいインタビュー
誰だってストライクくらいなら経験がありボウリングはすごい
ボウリングとは比喩である いやちょっと内気なだけのただのスポーツ
今までに取り残されたことがありバーに倒されるピンの気持ちだ
君が投げ 繰り返すこのボウリング ああボウリングみたいな恋だ
偶然の要素が少ないように見えスペアの方がよりテクニカル
ストライクがストライクを呼び点数は倍々ゲームさながら増えた
決着が10フレームを残して付いた 勝敗ではないただの投球
ボウリング終わって走るモンゴルの馬も同じアジアのどこかに
初めての連作短歌の題材がボウリングだし驚いていた
タイトルは読んだことない図書館の本の背表紙から頂いた
ピンアクションみたいに不確実 これは短歌ではなくボウリングです
もしこれを読んで面白いと思われた方がいらっしゃいましたら、毎日更新しているこのブログ「いらけれ」、あるいはポッドキャスト「ボイスメモを公開する。」をぜひ。
ポッドキャストの最新回「2018/06/09 今日のボイスメモ」では、この短歌を作ったきっかけや、人間が詩人になるということについても喋っています。また、ラノベ作家のヘイトスピーチ問題についてや、分人主義について、自分の興味あるものしか興味がないという風潮についてなどなど、色々話していますので、なにとぞ。
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