9/4やったこと

ブログ「いらけれ」

駅のホームに立っている。目線の先に建つビルディングが、反対側のホームの屋根の上から顔を覗かせている。「貸教室」と白い文字の書かれた窓には、ヒビが入っている。そのビルの天辺には、古びた看板が据え付けられているが、錆びていてほとんど文字は読めない。つまりそれは、過去を携えた建物なのであって、僕はそれを見ている。

朝。起きたときはまだ、これから先に僕が赴くことになるはずの場所へ、行こうという決心はついていなかった。シャワーを浴びながら、どうしようかと考えていた。しかし、着替えとして用意していたのは、一等お気に入りのTシャツで、だから、そのように悩みながらも、そのように悩んでしまう自分を振り払おうと、自分がしていた。少しでもやりたいと思ったことは、面倒臭さや不安に負けず、やらなければならないと、そのように思っているようだった。

大体のことは自業自得である。これが、27年を生きて得た実感である。このように、目に付いたものを手当たり次第描写したり、うじうじとした心を告白したりしているのは、その必要性に駆られているからである。お構いなしに電車は進むが、今日公開されるはずの僕の日記は、まだ誰にも書かれていない。それなのに僕は、新所沢に向かっている。スマートフォンを指で触り続けている。どこまで行っても人生は矢印の集積で、何かが始まれば、終わりが始まり、それが終わったら、新たな始まりが始まる。駅に到着する。

「天気の子」を見るために、縁もゆかりも(少ししか)ないこの場所に来た。水曜日はサービスデーで1200円と安くなっていたが、実は、料金が改定されたのは9月で、8月までは、これより100円安かったと知って、たった100円なのに、とても損をしたという気分になった。座っている椅子の背もたれが、勝手に傾く。この映画館には、リニューアルされてからも2、3回は来たはずだけど…こうだったっけと不安になる。レバーやストッパーを探してみるけれど、無い。検索したら、そういう椅子だと公式サイトに書いてあったから、僕のせいではないと、存分に背もたれを倒すことにした。

そのようにして見た「天気の子」だった。ぶっ飛んだ、ものすごい内容の映画だった。やはり肝は、JPOPの歌詞みたいなモノローグ(例えば、カップラーメンを作るような日常の風景の動画に、帆高のモノローグ風の心の叫びを付けたら、さぞ面白かろうと、見ながら思っていた。ユーチューブに投稿したらバズりそう) =自己啓発的なメッセージ=上から下までスピリチュアル、ということなのかなと思った。(続)

ブログ「いらけれ」

Posted by 後藤