おれふぇす
信じられないほどの蒸し暑さから、カーエアコンで逃れた車内は、今年行ったフェスの話になったが、私は、その輪に入ることはできなかった。音楽フェスというものの存在は、もちろん知っているものの、賢明な読者ならば、いや、賢明じゃないとしても、この日記を複数回読んだことのある方ならば、ああいった場所に足を運ぶような、運べるような人間ではないことをご存じだろう。それでも音楽は、いつでも私の傍らにあって、毎日がフェスのようなものである。
GRAPEVINE – BLUE BACK
「あんたってヒトは憂鬱が普通だ」って
夏に得るものが少ない人生だ。夏休みはどこに行くでもなく、ずっとテレビを見ていた。主に、毎年のように繰り返し放送されていた「スラムダンク」を見ていた。扇風機の回る部屋で、畳が汗を吸っていた。僕はその後、原作の「スラムダンク」を読むことはなかったので、僕のなかの「スラムダンク」はインターハイに行かずに終わる。
[LIVE] 혁오 (HYUKOH) – Gang Gang Schiele
Just a day
Perhaps it’s a hard day
Somehow it’s one day
レモンサワーを頼もうと思ったら目の前でボードをひっくり返されて、五十円高いカクテルサワーを勧められて断れる人間がいるのだろうか。それにしても、巨峰味のアイスが氷代わりになっているサワーは、この蒸し暑さのなかで、とても美味しく感じられた。これが今年一番の夏の思い出。
泉まくら 『yunagi』Pro. by nagaco
我以外皆我師
けど反面教師ばかり
最後に、一番大きな箱の花火を取り出した。セットに入っていた手持ち花火や噴出花火の煙で、辺りには煙が漂っていた。火をつけて離れたけれど、芯が湿気っていたようで、くすぶって、すぐ消えた。くすぶって、すぐ消える私たちの夏を、象徴しているかのようだ。
EELS – Rusty Pipes – Official Video
Don’t even try I can’t be saved
I’m beautiful and brave
旅行先だった三浦海岸の旅館で、そこに住む親類の家族と夕飯を共にした。人見知りで上手く話せず、サザエの黒いところの味だけが残った。しばらくして、花火が上がる音がし始めた。初めに窓の側に近寄ったのは、向こうの家族のお姉さんだった。お姉さん越しに見た花火と、「綺麗だね」と話しかけてくれたお姉さんのことは、いまだに忘れられない。
髭 “EXTRA STRAWBERRY ANNIVERSARY" (Official Music Video)
それじゃ またね、また バイバイ ほらセンチメンタル
もうすぐ夏も終わりだと信じたい。一抹の寂しさよりも実益の方が勝る。しかし、死ぬまでにあと何回の夏を過ごせるのかと考えると、また切なくなってきて、泣ける。
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