今を楽しくする知恵
「伝説的USハードコアバンド、MDCのヴォーカルにして80’Sスケートロックシーンの生き証人でもあるデイブ・ディクター。FTC以前のSFスケートシーン、そして壊れかけた世界について大いに語る。──DAVE DICTOR (MDC)」
パンクシーンとか全然詳しくない私ですが、このインタビューは読んで良かった。もちろん、差別を受けている人々に対する愛あるメッセージが響いたという面もあるのだけど、反体制という文化や反常識という態度が、現在、どのように変化したのか/してしまったのかということを考えるきっかけになったから。今を分かるためにも、もう少し、歴史を見ていかなければいけないなと思った。
身体があまり良くないのか、何でもない午後1時に、一人シエスタをしてしまう(シエスタは別に、誰かと一緒にやるものではない)。二週目を聞いていたラジオが、意識と意識の間に滑り落ちていく。この大きな眠気は、どこに潜んでいたのだろうか。僕を襲った睡魔から逃れられたとき、僕は身体を起こした。
暑い暑いと、災害級の猛暑だと脅されていたものの、問題だったのは直射日光だけで、太陽が雲に遮られると、風のおかげで心地良さすら感じた。夏には、ずっとこのようにあってほしいものだ。
大きな墓地のなかで分かることがあって、僕も土に還るということと、墓石の遥か向こうの雲の隙間から覗く空が、ディズニーランドのアトラクションを思い起こさせるということだ。「絵みたいだ」と思ってしまうが、絵は、こうした光景を写し取ったものだから、こうした感覚が誤りであることも分かる。
霊園を出て信号を渡ったところで、境界点と書かれた四角い金属が、道に埋め込まれているのを見つける。何度も歩いたことがあるのに、初めて気が付いた。その時の僕は、暗い気持ちを抱えて、下を向いていた。下を向いていたから、気が付くことができた。今、下を向かざるを得ない誰かが、このように、何かを発見できますように。それが、どれほど小さなだったとしても、その誰かの心を、ちょっと明るくしてくれますように。
速読がここまで憧れの対象となっているのも、映画やドラマの再生速度を早めて見る人が多いのも、「見終わった」ということの価値が高まっているからだろうし、それは、見るべきものの数が増えているからだろう。しかし言うまでもなく、一つの作品をチェック済みリストに入れることよりも、一つの作品を楽しんで感動することの方が、よほど大切なはずだ。なのに、それらはすぐに忘れられてしまうし、あまつさえ「それを見終えた私」をアピールするための具に使われてしまう。観客の不在によって、表現一般がすでに瀕死状態に陥っているのだとしたら、現代に打つ手はもうないだろう。
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