砂漠 #2
そんなことがあって、わだかまった気持ちのまま暮らしていたが、面接から2週間となる水曜日の前日に、お祈りメールが送られてきた(これにより、まだ作られていない「合否の連絡がない企業マップ」に掲載されることは回避したわけだが、2週間後というのは、なかなかに罪深くギルティだと思う)。こっちは神社に行って、神頼みしたっていうのに……いくら課金したと思ってんだ!(十数円)
こういうとき、「やっぱり神様なんていないんだ」と思うか、「自分の信心が足りなかったんだ」と思うかで、その人の人生が分かれていくのだろう。僕は、自分では前者のつもりで、結局はまた、賽銭箱の前にいるような人間だと、そこまでメタに考えている。
これで、毎日働かないでよくなったから、日記を書き続けることができるんで、つまり、あなたも読み続けられるってわけ。よかったね。正直、これをきっかけに、あるいは言い訳にやめたかったのだが、神が「続けろ」って言っているのかな、なんて、プラス思考をできるはずもなく、何にもないところで涙を流したり、橋の上で川中に飛び降りる想像をしたり、強く死にたいと思ったりしていた。
別れてしまった女の子が、とても美化されて思い出されるのは、なぜか。落ちてしまった会社に入れていたら、輝かしい未来が待っていたと思えてしまうのは、なぜなのだろうか。あれこそが運命の相手だったのにという、間違っている気持ちに、全面的に支配されてしまう心。もっと素晴らしい相手に出会うしか、これを解消する方法はないのだから、外へ外へと自分を追い出していくしかない。
うらぶれた僕はそれでも、いつものように街へ出て、道行く人を襲うわけでもなく、ただ明日への活力を求めて、長い時間歩いて、楽天チェックでポイントを貯めて、なんか木を組んでるけれど、ムサビってこんなところにあるんだ、オレンジ色のツインテールの人が自転車に乗っている、建物の前で仰向けで寝ている男が何かを書いている、こんなところに温泉施設がある、けど、月に一日しかない休館日だから、出かけたときは行くつもりではなかったスーパーマーケットに、千円で五十円引きになる電子クーポンがあったから、チューブのきざみねぎ塩と青じそ、お徳用のポテトチップス、プライベートブランドのウイスキー、コーラ、ドクターペッパー、割引されていたプチエクレアをかごに入れて、レジのおばさんがクーポンの存在を認識していなかったらしく、会計に手間取ったことにもやもやしながら、右手に下げたレジ袋が消費の重さで、ストレスがすっかり解消されたわけではないが、世界は涼しく、僕は前向きだとしよう。
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