ホームラン3連発 #1
世界が終わるまでに、やりたいことは?
僕が野球場にいた頃に、アマゾンから荷物が届いていた。近頃は、デリバリープロバイダが配達してくれるのだが、配達人がなんか、いつも灰色のフードを被った人で、怪しいと不平を言っている家族が受け取ってくれていた。
届いていた鼻毛カッターで鼻毛を切って、日焼け止めを塗って、フレグランスミストを付けた。準備万端、ここまでは順調、いい感じだ。
朝の電車に乗ったのは、いつ以来だろうか。満員電車はなくなればいいと、誰もが思っているはずなのにね。立ってスマートフォンを見ることぐらいしかできない僕は、相沢直「医学部平凡日記」を読む。これを今日読むことになったのは、たまたま未読のものがたまっていたからだ。しかし、面接ばかりの日に読むものとしては、最適だったのではないだろうか。自分を奮い立たせながら、一社目に向かうが、自分はうまくやれるだろうか。
一件目終わり。うまくやれたかどうかは相手が評価することだし、僕には分からないが、できることはやった。今まで面接で嫌な思いをした回数を数えたら、両手の指では足りないぐらいだから、嫌な思いをしなかっただけで「神」だと、そう思ってしまうのだが、今回は驚くべきことに楽しかった(「神」の上は、何と表せばいいのだろう)。あとは結果だ、祈るしかないな。
港区の、浜松町の辺りから渋谷へ向かうために、グーグルマップを頼りにバス乗り場へ歩いていると、スーツを着たおじさん二人組、結構な年収を稼いでいそうな人たちに、「○○ホテルはどこですか」と声をかけられる。その場で検索して、地図を見せた。めちゃくちゃ近かった。経団連会長の部屋に、やっとパソコンが導入されたというニュースを思い出した。分断感があるなと思った。
都バスが都会を走っていく。電車とバスなら、バスの方が危なそうでもバスに乗ったのは、観察と分析のためだったが、窓から見える景色は、この前の、新宿から秋葉原まで歩いたときのものと、ほぼ同じ。そりゃそうだろう。
興味深かったのは、乗り込んでくる人たちの雰囲気が、東村山を走るバスの乗客と変わらなかったことだ。でも、平日の昼間に都バスに乗っている人と東村山人は、育ちとか職業とか、全然違うはずだ。おそらく、どんどんと人々の均一化が進んでいるのだろう。それは、ユニクロを着ている人の年収が一億円みたいな世界が、容易に想像できるということ。でもまあ、単に僕が目が利かないだけで、良い服を着ていたのかもしれないけれど。
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