夜と関係
出版社に応募するために、また作文を書かなければならない。深夜に、パソコンに向かう私。条件と出版物を見るかぎり、応募しないという選択肢はなさそうだった。締切を考えると、明日には郵便に出しておきたいところだ。そのためには、寝る前に書類を用意しなければ。履歴書はすぐにできた。あとは、400文字の作文だ。作りたい本について、なにか書けるだろうか。
テレビがついている。NHKの「グッと!スポーツ」は、面白いからよく見る。車いすテニスの国枝選手の回で、国枝選手が将棋ウォーズをやっていた。将棋会館に行ったこともあるそうだ(将棋界のみなさん!早くコンタクトを!)。メンタルトレーナーとのエピソードが興味深くて、自分について少し見えるものがあった。しっかりと番組を見ていることからも分かるだろうが、まだ0文字だ。
幹線道路沿いを散歩していた。柵の向こうの霊園の中で散歩している犬が、珍しい見た目をしている。子ヤギのようなフォルムで、牛柄の模様をしている。散歩させている人をまったく覚えていないほどに、その犬に目が釘付けになってしまった。
ふっと目が覚めて、一時間もしない内に私は、内からとめどなく湧き出る達成感の湯船に浸かっていた。翌日には、一番嫌いな封筒の宛名書きもして、郵便に出せた。今振り返っても、私は素晴らしいと思う。送ったということ、それだけで充実感でいっぱいになった。書き上げた作文は、前回と同じように、このブログにリサイクルされることだろう。
図工の先生は優しかったから、怒るときも穏やかだった。図工室に置かれていた大きなローラーが付いた機械は、使い道が分からなかったから、僕たちは躊躇なく触っていた。先生は僕たちを集めて、危ないからやめなさい、電源が入っていなければ、触ってもいいわけではないと諭し、「絶対に車が通らないからといって、夜中の道路で、大の字で寝ますか?」と言った。ピンとこなかった。そもそも、道路に寝転ばないし。夜中の街をうろつけるほど大人になった僕は、人の気配のない道でいつも、この言葉を思い出し、大の字になってみようかなと思う。
郵便局と散歩のついでに、久々にポッドキャストをとってやろうと思うものの、ICレコーダーの電池がない。単4電池が家にない。コンビニの電池が高い。わざわざ500メートルくらい歩いて、100円ショップまでいって、来た道を引き返して、録音場所の公園まで行ったものの、おばあさんがいて、諦めて帰ってくる。もう二度と、ポッドキャストなんて、そんな気分にならないかもしれない。
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