ざ
僕に気の置けない友人が出来るのは、それから五年経ってからだった。その間に卒業して、就職したり、離職したりした。大学卒業後、僕はすぐには就職しなかった。いや、出来なかったのは、もちろん就職活動のようなものに馴染めるような人間ではなかったからだし、一方では、大学の「就職率」なるものに貢献することになることが癪に障ったからで、それは、大げさに言うならば、未来に入学する十八歳に対する責任感だった。卒業後一年間は、TSUTAYAでアルバイトをしていた。その後、正社員として入社した運送会社を一カ月でやめて、また一年ほど、今度はニートをしていて、次は出版社に勤めて、それも半年で辞めて、またニートをしていた。
運送会社を辞めたころ、つまり二年ほど前になるが、僕はブログを書くようになった。入社前に聞いていた話と、実際があまりに違っていて、その怒りが原動力だった。文章を書くことを仕事にしようと思った。それは、肉体労働ではないことをするべきだと考えたからだし、休みがなくて残業ばかりでも、給料が安くても、自分のしたいことを職業にすれば我慢できる気がしたからだった。ブログは、その練習というか、ライターになるための第一歩のつもりだった。編集者だった時期もあって、その間は更新しなかったけれど、それ以外のニートの期間は、毎日のように何か書いていたし、今も書いている。それは例えば、未来の自分が、高校時代や大学時代のこと、卒業後の今のことを思い返しているような文章だった。
僕はTwitterもやっていて、毎日あることないことつぶやいていたのだが、そのTwitterに、いつものようにブログを更新したというツイートをしたところ「ブログ読みました」から始まるDMが届いた。二月の、雪は降っていないけれど、とても寒い日のことだ。
PAR 001 “LIGHT CORAL" 02 Light Coral
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