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ブログ「いらけれ」

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聞いたもの:「LL教室の試験に出ないJ-POP講座」4月25日放送分

よくある昼間に歯を磨いて、私に一番似合わない鮮やかな色の服で出かけるとき、とにかく人とすれ違わないコースを選んでいる私は、心の奥底にある怖れを自覚しているけれど、最後のところで私には関係ないだろうという能天気さがなければ、そもそも外出していないはずだ。私のなかにある恐怖と楽観は、円グラフでどちらかが大きいというものでもなくて、どちらも100%だから結果として競り合っているような感覚があり、まったく正しくないがそれは、「私は生きている」という実感につながっている。生活はすでに、スカイダイビングやジェットコースターのようなものになってしまったのかもしれない。

線路の向こうには、違う社会があると思っている。そこに引かれた一本の線が、私たちの暮らしを規定している。南口のA君とは、まるで分かり合えないという気になっている。大きな霊園の小さな入り口(それは正門ではない)のすぐ側に、高さが1.8メートル以上あるトラックは通れない小さなトンネルがある。トンネルが線路の下を潜っているから、私も線路の下を潜ると、異世界に入り込むようだ。そこには、家とカオスばかりがあって、今にも壊れそうな古い家の隣に、真新しい一軒家が売りに出されている。平日昼間に人は通らないだろうという油断で、少年は狭い路地で全力を出し、突っ込んできた猛スピードの自転車を間一髪で避ける頃には、時計の針は2時を指している。

私が底にいたのは、なにも手につかなくなってしまったからだった。朝に送った連絡の返事を待っていた。断られたらショックだなと思っていた。住宅街のなかには、ポツンと一軒家ではないが、ポツンと神社があるから私はここに来たかった。読んだことがなかったから、由来が書かれている板の前に立ち、読み、そしてすべてを忘れた。神頼みをすることはなかったが、縋りたい気持ちがないとは言えなかった。

次の神社に向かう途中で、聞いていた曲を切り替えようとして通知を見た私は、祈ってもいない神に感謝した。すぐ家に帰ってから、その友人と話すためのネタを、Wordに書き出していた。仕事でも作らないような資料を作った。そうやって生きている私を、私が嘘みたいだと思うけれど、嘘も一つの本当なのかもしれないと、私が死ぬ時には、そう思えているかもしれない。そう思えていたら良いなと思う。

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Posted by 後藤