四方向に壁があって、視界が白い。苦しみという壁。地獄のように分厚い……地獄のように?通り過ぎていく言葉が怪しい。扉がない。どこにもドアがない。ないということによって、ようやくその意義を知るだろう、私は。愛もそうだ。夢も、金も。
かたかた音がしている。私が鳴っている。振動の波が伝わる。ブー、ブー……バイブレーションを、私たちは声のように聞くだろう。携帯電話が鳴いている、と思う。そこに生命が見出だされている。感情移入してしまう。愛着が湧く。
分かれば分かっただけ分かる。それが恐ろしくて、風呂場に持ち込んだ携帯電話の電源を落とす。分からなければ、分からない。しかし、どれだけ見て見ぬ振りをしても、どこかで何かが終わっている。端から世界平和に期待していない。目を閉じると真っ暗。耳に刺さったイヤホンで静か。インナースペース事始め。子宮から棺桶の間にある、宇宙船のような湯船。
音楽だ、音楽。私の中で音楽が流れる。星井七瀬の「ナナナビゲーション」が。え、有名な「恋愛15シミュレーション」や「パーマパビリオン」じゃなくて!?めちゃくちゃ「Sky High」みのあるアレ!?私の脳内ランダム再生のランダムさったらない。次がスカートで、その次が中村一義だった。統一感のなさったらない。流れ出す曲に私が一番驚いて、私が一番楽しんでいるのだから、これは少しだけ誇れる才能なのかもしれない。
好きだったバンドの新譜が微妙だと思ったときは、微妙だと言いたいけれど、微妙とは言えない空気が一杯に満ちている。そう思うのはお前の自由だが、私には、私の好きなものを貶されない権利がある。どちらの気持ちも痛いほど分かる。言いたいけれど聞きたくないというのは、身勝手が過ぎる。
微妙だと思ったのは学園祭学園『ユートピアだより』だったんだけど、聞き続ける内に好きになってきた。「ももいろ」は不朽の名曲だなあ。「百年経ったら墓に入るならば きみもおれと同じさ 百年経っても変わらないのならば 愛とでも呼べるかな」。あ、あと「リビング」は、非常にGRAPEVINEっぽさと星野源っぽさがあるなと思いました。
指がふやけて世界の肌触りが変わる頃には、流石に逆上せてしまった私が部屋に戻る。親の太腿に隠れる幼稚園児の気持ちで電話をかけて、とても忙しい三月が確定する。人生が変わる頃には、「三月の水」が良く似合う。ということで、この日記の更新は少しお休みします。まあ、死ぬわけじゃないし、とか言って死んだら笑っちゃうけれど、また暇になったら帰ってくるだろう。
「火のつかないあなたの未来」だった。そうなるはずだった私の未来に、火がついたとしたら。それでも今しかないのだとしたら、どうすればいいのだろう。
「未来、君と出会える時も、心は本当でいたい」。そう思って、今を生きるしかなさそうだ。