ブログ「いらけれ」

穴は脱出口にもなるけれど、当然、悪いものの通り道にもなる。フィクションの自由を最大限に許すとき、それは抑圧に対する被抑圧者の武器になると同時に、当然プロパガンダにも用いられてしまうだろう。対抗策はいくつもあって、しかし、そのすべてに問題点もあり、規制をすれば、あらゆるものが規制の対象になる可能性があるし、作り手の良心や受け手のリテラシーに期待するのは、どうしても限界がある。だから、すべてを掛け合わせながら上手に運用しなければならないのだけど、少し駄目なら全部駄目となりがちで、そういう0か1かみたいな思考に傾いてしまうのは、パソコンの使いすぎなのではないでしょうか。

棒がいっぽん届いた。楽天ブックスから高野文子『棒がいっぽん』が届いた。注文していたから。長嶋有『電化製品列伝』で取り上げられていて、いつか買おうとお気に入り登録していたのだが、千円以上でポイント○倍という楽天のキャンペーンとみみっちい私の掛け算で、千円に数十円届かない値段のこの本は後回しにされていた。しかし、このところのアンケート調査の重なり、管鮑の交わり、世界の終わりなどによる臨時収入が、ポイントが手に入り心にゆとりができたので、あと数日で失効となる期間限定ポイントを使い切ろう、キャンペーンとかどうでもいいや、と購入にいたったのである。届いたから開いたら目が離せなくなって、短編集の最初の一話「美しき町」を読み切ってしまう、やらなければならないことを差し置いて。すげえ。これに文章のみで、小説で対抗するのは不可能なのではないか。表現の極北。私が小説家だったら、廃業を考えたかもしれない。小説家でなくて良かったと心から思った。
そういうのとは別に、「美しき町」は87年初出ということで、普通に時代が感じられて面白かったですよ。今の時代に、こういうマンガが出てくる余地はあるのかなあと思ってしまったが、マンガに詳しくないことを忘れていた。危ないところだった。

あなたも勉強しませんか?僕に言われるまでもなく、すでにしていますか?『文化系トークラジオLife』の「2019年のオススメ本はこれだ!」を聞いて、イベント音声自体面白かったし、紹介されている本も面白そうだった。とくに『最小の結婚』が気になったので読みたいところ。「リベラルと制度の相性、実は悪いのでは?」というのは、かねてより抱いていた問題意識だったので。勉強の国に行き、勉強の国の人になる。うん。