ブログ「いらけれ」

「無限から一つを選ぶことは、人間には難しすぎるでしょう?だから、必要なのは、迷っても”選べる”くらいの有限へ引き戻す、意味のない仕組みで」
「あー……締切……」
「そう。あと、文字数の制限とか掲載誌。そういうもののせいで書かざるを得ないことが大事だね。そうやって書くときに要請されるのが、設定とか物語」
「ああ……」
「設定や物語は意味であり、意味の中なら”選べる”から。それでも想像力のない人間には難しいけれどね」
「うう……」
「登場人物の背景を決める、時代を、舞台を決める。そうすれば自ずと起こることは限られてくる。起こらないはずのことも」
「うん」
「少しずつ起こらないはずのことを入れて、意外性を微調整しながら、読む人間の反応をコントールすれば良い」
「そんな……簡単に言うけどさ」
「できる?」
「無理」
「そう」とだけ、彼女は言った。

そうか小説なんて、大切な人の死ぬ映画や、悲しげなメロディの音楽のように、受け手の感情に影響を与えればいいだけなのか、ってわたしは思ったから、そうじゃない小説を書くことを試みている。新しい地図を描くために。
3カ月が過ぎて、ワードのページが1000になった。でもまだ書いてる。これがいつか、わたしの納得のいくものになったら、彼女に見せよう。


FoZZtone – 春と鉛

ブログ「いらけれ」

拓殖大学の八王子キャンパスの最寄り駅である高尾駅は、JR東日本と京王電鉄という二つの路線が乗り入れている少し古びた駅だ。一限の必修英語のために早起きして乗る中央線快速はとても混んでいて、到着したころにはくたびれていた。朝はいつもトイレに寄るのだが、トイレは着いたホームとは別のホームにしかなく、階段を上って跨線橋を渡らねばならず、しかし、そこから見える朝の山々はいつも美しかった。大学生や、そこに住む人達が使う南口と違って、北口は観光客向けになっていて、飲食店や土産屋が並んでいる。気の置けない友人のいなかった僕は、その日の講義が二限や三限で終わったときには、北口の方面から真っすぐの大きな道を一時間くらいかけて、スマートフォンにたくさんのポッドキャスト番組を入れて、西国分寺駅まで歩いた。


detune. / ムシバメルモノ PV

ブログ「いらけれ」

「死んだラジオのためにできることなんて無いさ」

これは本当にそうだ。元ネタはカウボーイビバップというアニメのセリフで、今日初めてラジオのメールアドレスに「死んだ夫の残した7000万ドルが云々」というスパムが、送ってきたの誰だ。日付という概念は壊れてしまって、日本代表のベルギー戦はウィツェルが中国にいることを知った。それから寝て、時代は再共同体化を目指してそれがむしろ共同体を壊していて、寝て、紅白歌合戦は「TT」だろうが、来年はもっと世界で売れろと願った。基本的には、このブログにMVを貼られることが栄誉になればいいと思っている。


OK?NO!! / Rhapsody (MV)