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それが、誰の目にも映ることのなかった木だ。隣の木々とは一メートルほど離れている。もちろん隣の木々も誰にも見られたことはなかった。見上げても先端が見えないほどの高さと、抱き着いても手を回せないほどの太さだった。先週からの急な寒さのせいだ、足元は落葉で地面が見えない。
小さな鳥が一羽やってきて、枝にとまった。誰も見ていなかったから鳥は、それから十年そこにいて、飛び立つ気配すら見せない。鳥の目には、他の鳥の姿は見えなかった。歌は聞こえていたけれど、どこからか分からなかった。
小さな虫が二匹やってきて、幹の表面にとても小さな穴をあけた。虫には、それだけができた。一匹は他の虫に食われ、もう一匹はそれを虫なりに感じていた。虫にとって世界は、絶えず送られてくる電波のようなものだ、それを全身で捉えていた。
もう一匹の虫が死んで、その後、鳥も死んだ。


ダニエル・クオン – Judy

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